1960年生まれ
日大芸術学部美術学科彫刻専攻卒
彫刻家鈴木実氏のアシスタントを経て、井島貴金属精錬株式会社キャスト事業部生産加工部門工場長(2017年4月退職).アトリエムーン美術教室講師、すみだ学習ガーデンこども絵画造形教室講師(2017年前期)
アトリエムーン美術教室講師の瀧澤直樹です。どんな人が何を考えて講師をしているのか?詳しく知りたい方はご覧ください。ちょっと長いお話ですが。
高校在学中に油彩画家・井田淳一先生の美術科の授業に出会い、美術の世界の素晴らしさを知りました。美術や音楽に全く縁のない環境で育ちましたので、目の前がパッと明るくなったようなショックがありました。日大芸術学部在学中は土谷武先生と建畠覚造先生の知的でストイックな創作活動を目の当たりにして、驚きと興奮で世界観がひっくり返ってしまったみたいに感じました。土谷先生と建畠先生は、学生が自分の感性と考えで創作活動を組み立てる為の特別な指導方法を用意してくださっていたのですが、当時の日大芸術学部は、在学中から世界的に活動していた剣持和夫さんや山本衛士さんがアトリエに出入りしていて、対等に話をしてくださっていましたし、仲間たちと銀座や神田の画廊に行けば、船越桂さんや北郷悟さんのように第一線で活躍している方々が笑顔で対等に接してくださって、誰もが、自分が美術の世界の中心にいるような気分になってしまうような時代だったと思います。有名デパートのウインドウを飾るディスプレイや有名監督の映画のセットやテーマパークの内部の造形物を作る仕事が当たり前のように、学生だった自分にさえも(もちろん下請けですが)回していただけていました。大学を離れて(サボって)色々な創作活動を経験させていただく機会が度々ありました。そのまま大学に戻らないでアルバイトを続ける学生も大勢いたように記憶しています。バブルの終わり頃で、一番キラキラしていた頃だったのでしょう。楽しい思い出だけではなくて、積極的な性格でありさえすれば、色々な経験が出来る素晴らしい環境だったのは確かですが、落ち着いて研究に打ち込むには賑やか過ぎて、浮き足立ってしまっていたと思います。
卒業制作では2年掛かりで考えた仮説を実験するような制作をしていましたので、先生方や先輩達から温かい評価と応援を頂きました。大学在学中からコンクールや公募展での作品発表をする学生が主流でしたが、大学入学と同時に抽象造形に傾倒してゆき、土谷武先生や建畠覚造先生の指導を頂きながら、自分なりの仮説で実験的な創作活動をするうちに、意外な事に結局は具象的表現に結果を求めて行くようになり、ちょっとヘンテコで実験的な具象表現の面白さに魅せられて、やってみたい事ばかりがたくさんあって、作品発表活動に結びつくような方向性はなくなっていました。幸いにして当時の日大芸術学部には具象彫刻家の加藤昭男先生と鈴木実先生が講師で指導に当たられていましたので、卒業後に鈴木実先生の個人アシスタントとして働かせて頂きながら、自分の仮説に沿った創作の実験を継続させていただくことができました。鈴木実先生のアシスタントをさせていただいた頃も、まだ華やかな時代でしたので、鈴木実先生のもとには野外彫刻展や美術館からの依頼が沢山あって、素晴らしい創作のお手伝いを7年半もの間毎日させて頂きました。アシスタントとして尊敬する他者に成り切って考え、創作する事が自分の性格に合っていたようで、楽しく夢中で作らせて頂いていました。仮説を立てて実験するスタイルをアシスタントの仕事でも取り入れていたので、鈴木実先生にとっても、面白みのあるアシスタントだったのでしょう。色々な仕事を任せて頂けるようになって充実していましたし、色々な技術や造形理論を学ばせて頂きました。この頃には自分の作品発表よりもアシスタントの仕事にやり甲斐を感じて、人生の方向がはっきりしたと感じました。プロのアシスタントとしてやって行くなら、商業美術の世界で、創作活動をアシストする仕事をしようと決めて、ジュエリーとアクセサリーのメーカーで原型制作の仕事に就きました。その後は技術系の部署に異動して、個人の作家さんやメーカーさんの創作のお手伝いを技術面でアシストする仕事に夢中になって、あっという間に20数年経ちました。思いもよらない不思議な企画に沿った製品を実現するために、いつも新たに色々な方法を試し続ける仕事に恵まれてラッキーだったと思います。
2017年3月末に退職した時点で、技術部門の責任者と工場長を兼任していました。
これからアトリエムーン美術教室での授業で、今までに培ってきた技術と経験を生かして、これから人生をスタートするこども達の心の中に、豊かな世界観が芽生え構築して行くことのお手伝いをさせて頂き、生徒さんの人生を豊かにするような創作活動をアシストする為に役立てる事ができると思い、とても楽しみです。
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